Q&A
Q.福祉職に就くにあたって
私は大学で福祉を学んでいます。将来は福祉職特に老人福祉関係に行きたいと思っているのですが学生のうちに特にやっておくべきことなどはありますか。教えてください。
A
将来、福祉職として働くためには、学生時代に何をしておけばよいのか?
これは大変難しい質問です。なぜなら、回答は決してひとつではありませんし、これが正解だと断言できるものもないからです。
そのことをお含みいただいた上で、受け止めていただければと思います。
一般に、福祉施設等のワーカーには、下表のような「価値」「知識」「技術」「能力」が求められます。
もちろん、この中には学校で学習するものもあります。社会福祉概論や社会福祉援助技術などの科目や施設での実習などがそれにあたります。
また、専門性を客観的に裏付けるものとして、介護福祉士や社会福祉士などの国家資格の取得を目指して学習する場合もあります。
その意味では、学校でのカリキュラムの中で、できるだけ多くのものを学び、広い範囲での資格取得にチャレンジすることが大切なことになります。(プロとし て働くためには、たくさんの技術(道具)が必要になります。国家資格だけでなく、各種療法やレクリエーションなどに関し学習していることが、個別のサービ ス提供の場面で大変役に立つことになります。)
ワーカーに必要な専門性の基本的構成要素
A. 価値
- 価値=根本的価値(個人としての尊厳、平等、非差別、社会的正義)、中心的価値(生存権・生活権、QOL,ノーマライゼーション、自立)
- 倫理=クライエント利益の最優先、最大限の自己決定の促進、秘密保持
- 態度=誠実さ、受容、個別化、非審判的態度
B. 知識
- クライエント・システムの問題理解の視点および介入技術に関する諸アプローチ(ソーシャルワークの諸理論)
- 多様な生活上の諸問題、社会問題、人間発達に関する幅広い多様な理論
- 社会福祉サービスを中心とした幅広い社会サービス・資源に関する情報
- 社会サービス・資源活用の手続き方法、法的根拠などの知識
- 社会福祉政策の歴史的展開過程・特徴・課題などに関する知識
C. 技術
- 問題解決過程(アセスメント・援助計画の作成・計画実施・評価・終結)の技術
- 対人援助技術:ワーカー・クライエント関係(信頼関係)形成の技術
- 対人援助技術:コミュニケーション技術(面接技術)
- 協働の技術(チームワーク・ケアカンファレンスの技術など)
- 記録の技術・情報管理の技術
- 援助実践やサービス・プログラムの評価技術
- 仕事管理の技術
D. 能力
- p.想像力、柔軟性、臨機応変性
しかし、学校で学習する時にぜひ着目していただきたい部分が、「価値」観の成長になります。前述のように知識や技術は学習することで広がっていきますが、「価値」観は自分自身を見つめることを繰り返していく中で身についていくものです。
自分の価値観や相手の価値観を知ること、そして理解することが福祉サービスの基本であり土台になります。この土台づくりは、いろいろな人との出会いや様々な体験などにより形成されていきます。
「利用者主体」「個人の尊厳」・・・。全ては一人ひとりを大切に思う心が起点となります。
従って、実習やボランティア活動の場面では
- 利用者の方々に対して一個人として対応しているか。
- 利用者の方々を受容しどんな話にも耳を傾けているか。
- 利用者の方々を価値や尊厳のある人としてとらえているか。
- 利用者の方々の行動や気持ちを受け入れているか。
- 利用者の方々を審判したりしてしないか。
- 利用者の方々を自分自身で決定できるように手助けをしているか。
- 利用者の方々のことについて他人に口外していないか。
などに留意してコミュニケーションを図るようにしてください。
学生時代はいろいろなことができる時でもあります。知識や技術の習得だけでなく、ぜひ、自分自身の土台作りにチャレンジしてみてください。
Q.福祉関係の職業について
福祉関係の職業に就きたいと思います。
どのような資格を取得すればいいでしょうか。
A
一口に福祉関係といっても多くの職業と資格がありますし、経験年数の違いや学生であるか社会人であるかなどによって資格を取るための進路など異なりますので、ここでは代表的な資格について大まかな紹介をいたします。
老人福祉分野では
- 資格としては社会福祉士(生活相談員など)介護福祉士(介護職員など)、訪問介護員、介護支援専門員
- 職場としては特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、養護老人ホームなど
障害者福祉分野では
- 社会福祉士(支援員)、精神保健福祉士、相談支援専門員、サービス管理責任者など
- 障害者支援施設、障がい福祉サービス事業所、相談支援事業所、共同生活援助事業所など
児童福祉分野では
- 保育士、言語聴覚士、幼稚園教諭 、児童指導員、
- 児童福祉施設(保育所・児童養護・情緒障害児・乳児院・児童自立支援)
共通する資格やその他の資格など
- 社会福祉主事、保健士、看護師、栄養士・管理栄養士、調理師、理学療法士、作業療法士
- 臨床心理士、言語聴覚士、視能訓練士、義肢装具士 健康運動指導士・健康運動実践指導者、福祉レクレーションワーカー 、音楽療法士
などがあります。
詳しくは、「福祉の仕事ガイドブック」中央法規(1,800円)
「福祉の仕事学校案内」福祉人材センター・福祉人材バンク(2,100円)
就職等の相談窓口は、都道府県社会福祉協議会の福祉人材センターにご相談下さい 。
Q.在宅の障害者ですが、作業療法について教えてください。
在宅の障害者ですが、作業療法について教えてください。
A
1. 作業療法とは?
作業療法とは、精神疾患や発達障害、脳卒中などによる様々な心身機能の低下がみられる方々に対し、日常生活で行なっている作業活動を活用して、機能 の維持や改善(リハビリテーション)を図る療法です。 その人の持つ能力を生活の中で役立てることで、意欲やQOLの向上、生きがいづくりを目指すことになります。
2. 作業療法としての主な内容
[1] 日常の生活動作の訓練指導
食事・入浴・排泄・衣類着脱・料理・洗面などの動作
[2] 徒手による動作訓練指導
上肢の動作・手指の運動・筋力回復・バランス動作・感覚知覚の回復・各種健康運動など
[3] 職業的活動を活用した訓練指導
木工・陶芸・農作業・印刷・軽作業・事務作業など
[4] レクリエーション的活動を活用した訓練指導
各種スポーツ・ゲーム・ダンス・カラオケ・楽器演奏・囲碁や将棋など
[5] あそびや趣味を活用した訓練指導
絵画(描画)・粘土・革細工・刺繍・感覚知覚・遊戯・折り紙など
[6] その他
生活道具や用具、車椅子などの使用に当たっての相談や助言、生活関連機器の製作指導、社会資源の紹介なども含まれます。
3. 作業療法への期待
作業療法の具体的な内容をみると、医療の現場だけでなく、社会福祉サービスの対象者 である高齢者や障害者の方々にとっても重要な意義を持つことがわかります。 人間は、道具を使う生き物と言われます。作業療法は様々な道具を用いながら、作業や 活動の持っている要素を分析し、支援対象となる方々が持つ身体的・精神的な力を引き出 していくのです。
残念ながら作業療法の活用は、社会福祉の領域ではまだ十分だとはいえない状況にあり ます。しかし、福祉サービスの提供理念が、「一人ひとりが自分らしく生きていくための支 援」である今日、「生活」に視点をおいた専門療法であるこの作業療法が、理学療法とは違 った意味で活用されることが望まれてきています。
在宅の方々にとっては、デイサービスのサービスメニューとして、あるいは訪問リハビ リテーションとして利用することが考えられますが、人的部分も含め整備にはもう少し時 間がかかりそうな状況にあります。
Q.健康運動とは?
健康運動とは?
A
健康運動について
生活習慣病の予防
- 高血圧症
- 高脂血症
- 心臓病(狭心症・心筋梗塞)
- 脳血管障害(脳梗塞・脳出血)
- 糖尿病
- ガン
- 肥満
- 骨粗しょう症
- 老年期痴呆
健康維持・増進
個人にあった運動プログラムの作成
そして・・・・・《生きがいづくり・仲間づくり》
健康づくりの基本
- 栄養(バランスのとれた食生活)
- 休養(十分な休養)
- 運動(適度な運動)
健康運動
- 有酸素運動 ⇒ 心肺機能の維持・向上、生活習慣病の予防・改善
- レジスタンス運動 ⇒ 全身持久力、筋力アップ
- 柔軟運動 ⇒ 関節、靱帯などの柔軟性のアップ
健康運動の取組みについて
利用者が主人公の施設づくりを目指し生活の質(QOL)の視点にたち、医療面・栄養面との連携のもとに健康づくりに取り組んできました。
平成11年度、希望が丘職場活性化事業「ニコニコペースで健康づくり」をスタート、平成12年度には希望が丘に健康委員会を設置し、
- 健康実践と援助方法の確立
- 健康運動に関する啓蒙活動
- 健康づくりのための情報提供
- 地域展開等の活動を実践し健康づくり運動推進事業
を展開しています。障害に関係なく誰にでも健康で豊かな生活をおくる権利があります。ひとりひとりが自分の中に健康というものを意識し自主的な取組 みができ、そして仲間づくりへと発展できるように希望が丘を拠点とし各施設、地域へとネットワーク化を図りながら展開しております。
現在、健康運動指導士:2名 健康運動実践指導者:20名程度で取り組んでおります。
資格について
健康運動指導士
概要
健康運動指導士は、医学的基礎知識・運動生理学の知識等に立脚して、個々人の身体の状況に応じた運動プログラムの提供・運動指導等を行うものである。
取得方法
受講資格に該当していること+受講(21日間)+受験(筆記)+登録((財)健康・体力づくり事業財団)。
受講資格
- 保健師、管理栄養士
- 4年制体育系大学および医学部保健学科卒業者
- 看護師、理学療法士、作業療法または臨床検査技師の資格を有し、4年生大学卒業者か1年以上運動指導に従事
- 栄養士、准看護師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師で4年制大学卒業者か2年以上の「運動指導」
- 体育系短大または2年制体育系専修学校卒業者で2年以上の「運動指導」
- [2] に掲げる大学以外の4年制大学または1年制体育系専修学校の卒業者で「健康指導」3年以上
- 5年以上の「健康指導」
- 健康運動実践指導者資格を有し、資格取得後1年以上運動指導に従事した経験のある者等。
講習科目
健康管理概論、運動生理学、発育・発達・老化、栄養と運動、救急処置ほか。講義76単位、実習20単位。
健康運動実践指導者
概要
呼吸・循環器系生理機能の維持・向上を図ることにより、動脈硬化、心臓病、高血圧などの生活習慣病を予防し、また、健康水準を保持・増進するという観点から、医学的基礎知識、運動生理学に立脚しつつ、個人個人の身体状況に適した運動の実践を行う。
取得方法
受講資格に該当していること+受講+受験8実技評価及び筆記試験)+登録((財)健康・体力づくり事業財団)。
受講資格
- 体育系短大または2年制体育系専修学校もしくはこれと同等以上の学歴のある者
- 3年以上運動指導に従事した経験のある者
- 運動指導を行う看護師・栄養士等。
講習科目
- 健康管理概論
- 運動生理学
- 機能的解剖学
- 発育・発達と老化
- 栄養と体重調整
- 健康づくり運動プログラム
- 運動指導の心理学的基礎
- 運動障害と予防
- エアロビック運動の理論と実際
- ストレッチング
- 補強運動の理論と実際
- 体力測定と評価
- 救急処置
問い合わせ・申し込み先
(財)健康・体力づくり事業財団
電話:03-3591-7159